ほくろは取るべき?【悪性黒色腫か否か】

ほくろってみなさん持っていると思います。
これって取るべきなのでしょうか。
そもそもほくろは悪性腫瘍になるのでしょうか?
今回はここらへんに答えてみたいと思います。

皮膚悪性腫瘍ガイドライン第3版
メラノーマ診療ガイドライン2019を参考にしています。

https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/melanomaGL2019_web.pdf

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結論

これだけいうともちろん語弊もありますが、基本的に大きくなっていなければ大丈夫です。

ただ、生まれた時はなかったけど大きくなってきた、足の裏にあるなどの場合は皮膚科を受診した方がいいです。

とにかく大きくなるものがある場合は皮膚科を受診するが鉄則です!

細かい診断の話

ほくろは基本的に生まれた時からあり、大きくなっていなければ色素性母斑が考えられます。

悪性黒色腫の臨床的な診断方法にはABCDという考え方があります。

A:Asymmetry
B:Border
C:Color
D:Diameter
E:Evolving

です。これは学生の時の皮膚科のテストで必ず出題される問題でした。

AのAsymmetryに関しては左右対象の綺麗な形かそうでないかという点です。
BのBorderに関してはそのほくろの縁が綺麗に正常の皮膚と別れているのかぼんやりしているかになります。
CのColorに関してはそのほくろの色が一色なのかいろいろな色の部分があるかになります。
DのDiameterに関しては6mm以上であると悪性も考えます。
EのEvolvingは隆起の形です。

正直ABCEの項目に関しては一般の人が見てもなかなか判断できないと思います。
ただDの6mmを超えているかに関しては誰でも定規で測ることができます。

なので個人的には

  • 大きくなっている。
  • 大きさが6mm以上である。
  • 足底や爪にある。

このような場合は積極的に皮膚科を受診した方がいいと思います。

もし悪性が疑われたら

悪性が考えられた場合、まずは大きな病院に紹介になると思います。
大きな病院に紹介となり、やっぱり怪しいと判断された場合はまず皮膚生検という検査を行います。

この皮膚生検という検査は最初にそのほくろの部分に注射で麻酔を打ち、痛みをとった上で穴あけパンチのようなものでくり抜く、もしくはメスで船のような形に切り取るということを行います。
切り取った後は糸で何針か縫合して10日位で抜糸することになります。

この皮膚生検でとった組織を顕微鏡で見て本当に悪いものではないかを判断することになります。

ちなみに医師国家試験では悪性黒色腫の生検は禁忌とされています。
しかし大きい病院などで悪性と分かった場合にすぐに手術を行える場合は行っているようです。(というか僕の研修している病院では行っています。)

この顕微鏡で切ったものを見てやっぱり悪性と判断された場合は手術となります。

手術に関して

手術ではその皮膚をとって判断された腫瘍の深さによっていろいろな手術が行われます。

手術の種類に関しては

  • 単純切除
  • 単純切除+センチネルリンパ節生検

などがあります。(他にもいろいろあります。)
ここらへんはいろいろな要素が絡んできますが、基本的に顕微鏡でみて浅ければ腫瘍をとるだけ、深ければリンパ節の検査も追加するというイメージです。

腫瘍をとる場合は場所によっていろいろな手術があり、腫瘍にマージンをつけてとるため傷が大きくなってしまう場合は大腿から皮膚を取ってきて植皮なども行われます。
傷が大きい場合は人工真皮というものでひとまず様子を見て取り残しがない場合に再度植皮の手術を行ったりします。

ちなみに皮膚の腫瘍をとるときは舟形に腫瘍をとります。
これは単純に丸く切り取ってしまうと綺麗に傷が閉じず、盛り上がる部分ができてしまうからです。

転移などがある場合は化学療法などを行う場合もあります。
化学療法ではダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法(タフィンラー、メキニスト)、ニボルマブ(オブジーボ)、イピリムマブ(ヤーボイ)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)などが用いられます。(遺伝子の変異などで治療法が決められます。)

まとめ

悪性黒色腫はあまり予後の良い癌ではありません。
そして僕の経験では30代前後の人でも見つかる人がそれなりにいるように感じます。

とにかく大きくなってきているほくろは危ないのでそんなほくろがある人はすぐに皮膚科に行くようにしてください。
というかほくろでなくても何か大きくなってきているものがある場合は危険です。

ほくろではありませんが、若い人に多い腫瘍でDFSP(隆起性皮膚繊維肉腫)というものがあります。
これは少しできものができるような感じの腫瘍です。
この腫瘍で皮膚科に受診する方は忙しかったり気づかなかったりでそれなりな大きさまで大きくなってから受診される方が多い印象です。
大きくなってしまうと傷も大きく、植皮などもあるため大変です。

とにかく忙しくても大きくなるのもはすぐに受診した方がいいです。

特に背中や足の裏はきっかけがないとなかなか注目しないと思います。
この記事を読んだことをきっかけにそこらへんもたまには見てみるといいと思います。

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