大学病院と市中病院の初期研修の違いについて

M.A

医学部を卒業すると多くの人は医者としての一歩を踏み出すために初期研修を開始すると思います。
そして医学部高学年になってくるとやはり悩むポイントとしてどこの病院で初期研修を送るかと言うことですよね。
その中でも一つ大きなポイントとなるのが大学病院か市中病院かというポイントではないでしょうか。
今回の記事では自分の初期研修での経験も踏まえて、大学病院での初期研修と市中病院での初期研修の違いについて書いてみたいと思います。
研修病院で迷っている人は是非この記事を読んで大学病院と市中病院の違いについて学んでください!

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大学病院での研修のメリット

まずは大学病院での研修のメリットについて書いていきます。

圧倒的な入院症例数

とにかく病院が大きいのが大学病院の特徴ですよね。
色々な希少な疾患など他の病院では絶対に経験しないような症例を経験できるのが大学病院です。
将来自分が関わらない診療科などは一度最先端の医療などを経験しておくといい経験になると思います。

たすきがけ研修で効率よく研修できる。

大学病院での研修の大きな特徴として「たすきがけ」というものがあります。
これは1年間を大学病院で、1年間を市中病院でというものや、好きな期間市中病院で研修することができるという制度です。
この制度の何がいいのかと言うと、大学病院のデメリットでもあるcommon diseaseがあまり経験できないと言う点を補えていると言うところです。
市中病院の説明会でcommon diseaseがたくさん経験できると言う話はよく聞くと思います。
大学病院もこのたすきがけがあるため十分common diseaseを経験することができます。
そしてこのたすきがけというシステムを上手に使うとその診療科を得意としている病院だけを選んで研修することができます。
例えば小児科に関して言えば〜こども病院が全国にあると思いますが、こういった施設でも研修することができます。こども病院は小児科はとても得意としていますが、他の診療科はあまり得意としておらず、初期研修で基本的には選ぶことができませんが大学病院の研修であれば選べますね。

このように〜科の得意な病院で〜科を研修するということができるので2年間という期間を無駄なく研修できますね。

マイナー診療科が充実している。

もう一つ大きなポイントはマイナー診療科が大学病院は充実している点です。
市中病院の多くは耳鼻科、皮膚科、眼科などの診療科はあまり指導医がおらず、研修に向いていない可能性があります。(もちろん例外もあります。)

一方で大学病院はこういった診療科も指導医やレジデントの数が充実しており、入院患者さんもそれなりにいるので充実した研修が送れます。

将来マイナー診療科に進もうと考えている人にとっては自分がどういった仕事をすることになるのか知っておくためにも、大学病院での研修がいいかもしれません。

入局後の情報を十分に仕入れることができる。

どこの病院で初期研修を行ったとしても、そこそこの人が大学病院の医局に入局するというのが多くの医者の流れになっています。
大学病院で研修すると自分の入局後の雰囲気が掴みやすいとおもいます。
自分がどんな仕事をするのか、大学院にいくのかなど色々なポイントを知ることができるはずです。

医者の数が多い

当然のことですが大学病院は医者の数が多いです。
医者の数が多いメリットとしては

  • 色々教えてくれる医者の数が多い。
  • 仕事が過剰になることがない。

このような点だと思います。
とにかく医療は書類業務などの雑務が多いため、こういったことを協力して行うためにも医者の数は多いに限ります。

市中病院のメリット

ここからは市中病院のメリットについて書いていきます。
ここに書くことは基本的に大学病院のデメリットになっていきます。

給料が高い

もちろん都会の市中病院であれば給料が高いわけではありませんが、多くの市中病院は大学病院よりも給料は高いです。場所によっては年収1000万円超えるようなところもあるのではないでしょうか。

研修医の数が少ない

これも当然ですが研修医の数が市中病院は多くの大学病院と比べて少ないです。
少ないことで同じ診療科を研修する同期の数が減るので何か手技を行う時も譲り合ったり、奪い合うようなことにはならないですね。
大学病院は診療科が多いから研修医が多くても大丈夫となっているようですが、研修医がローテートする診療科はメジャーな診療科が多いので結局何人かが同じ診療科をローテートすることになってしまいます。

また研修医が少ないことによるもう一つのメリットは研修医同士や上級医と仲が良くなるところでと思います。
やはり大学病院は研修医の人数が多く、多くの研修医がたすきがけで市中病院に行ってしまうことを考えると市中病院ほど仲良くならないと思います。(もちろん人によるとは思います)
上級医の先生も数が少ないので医局で話したりする機会も多く、患者さんのコンサルトも気軽にできます。

経験できる症例数が多い

大学病院の多くは三次救急であり、救急車がたくさんくるわけではありません。
その一方で市中病院は二次救急の病院も多く、夜間もたくさんの患者さんが病院を訪れます。
救急外来の経験値は市中病院の方が積めます。
また医者が少ないこともあり、夜間のコールなども最初に研修医にいくこともあり、主体的に関わることで多くの経験が積めます。
外科であれば手術の執刀なども市中病院は経験できます。

研修医向けの勉強会が多い

個人的な感想ですがやはり研修医むけの勉強会などは市中病院の方が多い印象にあります。
大学病院は少し高度なカンファレンスなどが多いかもしれません。

大学病院のデメリット

基本的に市中病院のメリットに書いた点がデメリットですが補足のような部分になります。

市中病院にいく必要がある。

これはたすきがけの話です。
大学病院はcommon diseaseが少ないので最低でも半年くらいは市中病院で研修した方がいいです。
たすきがけはもちろんメリットですが、しなくて良いのであればしない方がいいです。
場所によっては引越しが必要ですし、新しい環境に行って初対面の人たちと関わるのは疲れる人もいると思います。
病院のカルテなどシステムも変わってしまうのでなかなか慣れるまで時間がかかることもあると思います。

こういった悩みはやはりしない方がいいですね。

市中病院のデメリット

これも大学病院のメリットが市中病院の足りないポイントになっていきますがそれの補足です。

将来が限られてしまう。

市中病院は大きい病院もあるとは言え、大学病院よりは診療科も少なく、外来しかやっていない診療科もあったりします。
希望する診療科が決まっていてそこから市中病院で研修するのであれば問題ないですが、あまりはっきりとした希望がなく、市中病院に行ってしまうとどうしても充実している内科や外科に偏ってしまうと思います。
学生の頃は皮膚科を考えていて、市中病院で皮膚科を研修せずに初期研修が終わってしまうといざ皮膚科として働いた時に自分の思っていたのと違ったとなってしまうかもしれません。

このように大学病院ほど診療科が充実していないのは市中病院の大きなデメリットだと思います。
ただ将来が決まっている人であれば、給料をしっかりもらって、主要な診療科をしっかり経験できる市中病院はおすすめです。

まとめ

初期研修病院の選び方に関しては下の記事に全体についてまとめています。
こちらの記事は研修病院選びの全体に関して書いているので参考にしてみてください。
とにかく重要なのは病院よりもモチベーションを保ちながら2年間研修できる病院を選ぶことです。
僕は最初はとにかく綺麗な病院を選んでマッチングの試験を受けました。
ここで2年間働きたいと思える病院を選ぶのが重要です。

正直どこの病院を選んでも自分がしっかり勉強すればいい医師になれるはずです。
少しでもこの記事が研修病院選びの参考になってくれれば嬉しいです。

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