このシリーズでは毎週1週間の医療ニュースと免疫学に関する論文を紹介しています。今週は時間がなかったので医療ニュースの紹介だけになってしまいましたがぜひ読んでみてください。
医療ニュース
今回の医療ニュースはコロナ治療に関するニュースです。
COVID-19抗体カクテル療法の承認
トランプ大統領がすでに使用したということで話題になっていた抗体カクテル療法ですが、7月19日に日本で承認されました。抗体カクテルというのは二つの抗体製剤が混ざっているものです。具体的にはカシリビマブとイムデビマブという二つの抗体製剤が入っています。合わせたものの製品名がロナプリーブで論文などではREGN-COV2と呼ばれています。こちらの二つの抗体はSARS-Cov-2スパイクタンパクの抗体です。いくつか論文になっているようですが、その中のNew England Journal of Medicineに取り上げられているものを紹介します。
こちらの論文では外来で診察している18歳以上のCOVID-19患者さんを対象にプラセボ、2.4gのREGN-COV2、8gのREGN-COV2を投与してPCRによるウイルス量を比較しています。
結果ですが、この論文ではもともと抗体を持っている人と持っていない人の比較もしており、もともと抗体を持っていない人に対してウイルス量を減らすことができていました。またウイルス量がもともと多い人に対してもよりウイルス量を減らすことができていました。
ウイルス量は死亡のリスクを高めることがわかっているので、この抗体カクテルは即効性(48時間以内に効果)があり、効果的な治療になるのではないかと書いてあります。
ちなみに安全性に関してもプラセボと変わらなかったと書いてあります。
とても有効な薬であることは間違いないですが問題は抗体製剤であり高価であるということでしょう。まだ薬価は発表されていないようですがその他の抗体製剤が高価であることを考えるとこちらも高価であることは間違いありません。
日本での適応は重症から中等症となっているようですが、ここから先使える人が増えていった場合に経済的な問題も出てくると思います。色々考えなくてはいけない薬ですね。
まとめ
コロナ治療に関してはイベルメクチンが話題になるなど色々ありますね。来週は免疫学の論文も紹介したいと思います。
先週の記事はこちらです。こちらも時間があればぜひ読んでみてください。
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