今週も1週間の医療ニュースと免疫学に関する論文を紹介したいと思います。今週はそこまで大きなニュースはなかったので臨床系の論文で大きそうなものを紹介しています。
医療ニュース
医療ニュースというよりかは臨床の論文をいくつかピックアップしています。
COVID-19に対するトファシチニブの効果の検討
入院中のCOVID-19肺炎の患者さんに対してトファシチニブ(JAK阻害剤)を投与した結果、28日後の死亡と呼吸不全の合計は優位に減少したが、死亡のみで考えると差は出なかったという論文です。
この論文にも記述がありますが、いろんな免疫抑制剤がCOVID-19に対しては研究が行われているようですね。
先天性横隔膜ヘルニアに対する胎児鏡下期間閉塞術の検討
こちらは日本の国立生育医療研究センターが参加したということでニュースにもなっていました。先天性横隔膜ヘルニアに対する胎児鏡下期間閉塞術が胎児の生存率を有意に改善するという報告ですね。
論文はこちらです。
生存率が介入群で40%、非介入群で15%ということでした。ちなみに早産は有意に治療群で増加しています。まあ当然ですね。治療群が良いという有意差がついたということで早期に打ち切りになったようです。
難しい技術のようですが広がると良いですね。あまり詳しくない分野なのでなんとも言えませんが、画期的な治療だと思います。
免疫学論文
なんとなく選びました笑。
新生児期のビフィズス菌による免疫への作用
この論文ではビフィズス菌に着目し、まずは元々ビフィズス菌が腸内に多い人、少ない人の血中の免疫細胞を検討するところから始まります。色々な違いがあったようですがその中でも自己免疫疾患に関わるIL-6というサイトカインがビフィズス菌が少ない人では高かったというようなことも書いてあります。
次に母乳に入っているHuman milk oligosaccharide(HMO)の代謝がTh2、Th17の反応を減らすことに関わることを見つけています。要は炎症を抑えるんじゃないかということですね。
ここからこのHMOを代謝することができるビフィズス菌のEVC100を新生児に投与する実験に入ります。そして投与群では炎症性サイトカインの減少、炎症を抑えるサイトカインの増加が見られたということです。
まとめるとビフィズス菌が母乳栄養によるHMOの代謝や炎症の抑制に関わっているということですね。つまりビフィズス菌は自己免疫性疾患を抑えるかもしれません。
腸内細菌と免疫の関係は免疫学における重要なトピックですね。いろんな研究が行われています。ちなみにこの研究で用いたビフィズス菌はバングラデシュとかの人に多く、北アメリカや西洋の人には少ないようです。食生活が関係しているのでしょうかね。
まとめ
今週は先週ほどビッグニュースはありませんでしたね。今後も紹介していけたらと思います。
ちなみに先週の記事はこちら↓
時間があったらこちらも読んでみてください。
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