(6/6-6/12)1週間の医療ニュース、免疫学TOPICS

M.A

継続できるかは分かりませんが今週の医療ニュースと免疫学に関する今週の論文などを簡単にまとめてみたいと思います。自分の勉強にもなると思って頑張って続けたいですね。

医療ニュース

今週はいくつか面白いニュースがありましたね。

アルツハイマー病治療薬アデュカヌマブがアメリカのFDAで承認

これはかなり大きなニュースでしたね。

バイオジェンとエーザイによる共同開発のアルツハイマー病治療薬のアデュカヌマブがアメリカのFDAで承認されました。僕はあまり細かいことは知りませんでしたがこのNatureの論文に細かいことが書いてあります。

The antibody aducanumab reduces Aβ plaques in Alzheimer’s disease - Nature
Aducanumab, a human monoclonal antibody that selectively targets aggregated Aβ, reduces soluble and insoluble Aβ in the brain, an action accompanied by a dose-d...

簡単にいうとアルツハイマー病で蓄積すると言われている、アミロイドβに対するモノクローナル抗体ですね。調べてみると2015年あたりからこの薬に関する論文がちらほら出てきます。

このNatureの論文ではPET画像でアミロイドβをしっかり減らしておりなんとMMSEまで改善しているという結果でした。

このあとこの薬は2019年に効果がないとして開発が中止されたりと色々あったようですがついに承認されたようですね。ただ色々紆余曲折があった薬であり本当に効果があるかは多くの報道でされているように検討が必要みたいですね。

またモノクローナル抗体ということで価格もかなり高くなりそうです。有名な抗がん剤のニボルマブ(オプジーボ)も1回の240mgで40万円とかなり高額です。アルツハイマー病患者さんがみんなこの薬を保険医療で使うとなると日本の医療費も大変なことになってしまいます。夢のような薬であることは間違い無いですが色々と考える必要がありそうですね。

この薬に関連している製薬会社の株は暴騰していますね。

毛包幹細胞の発生起源の解明

こちらは理化学研究所からNatureに発表された論文ですね。

Tracing the origin of hair follicle stem cells - Nature
Live imaging and single-cell transcriptomics of mouse hair follicles reveal their development from 2D concentric zones in the placode to 3D longitudinal compart...

この論文は少し内容が難しいです。

簡単にいうと同心円上にいくつか毛包のもととなる細胞がありそれが下に伸びて毛包が形成されるという仕組みを顕微鏡によるライブイメージングで見つけたということですね。海賊が持っている望遠鏡のように毛包が伸びるということですね。

理研のホームページには

ES/iPS細胞から効率よく質の高いもう方幹細胞を分化誘導できる可能性が高まります

と書いてあるので脱毛の治療につながることを期待できるのでしょうか。まあ毛包の研究の最終到達点は脱毛の治療だと思います。需要もかなりありそうですよね。

COVID19感染者数の減少

データはWorldometerの6月15日時点のものです。

COVID-19 Weekly Trends by Country - Worldometer
New cases and deaths in the last 7 days vs. the preceding week. Absolute and percentage change, weekly cases and deaths per million people in every country in t...

日本は1週間あたりの感染者数が1万人程度まで減少してきました。100万人あたりの感染者数も100人程度となっています。これは世界の約200カ国の中で115位と半分以下にはなりました。ちなみに100万人あたりで最も多い国はセーシェル共和国みたいです。

世界で見るとほんのり減少トレンドにはあるみたいですね。ワクチンの効果でしょうか。ただイギリスは依然として増加傾向にあるなど安心はできない状況ですね。Delta型の変異ウイルス(いわゆるインド株)の割合は増えている地域が多いです。

免疫学の論文

今週は色々読んでみましたがあまりいい論文はなかったように思いました。

BNT162b2(ファイザーのワクチン)の変異株に対する中和について

BNT162b2-elicited neutralization of B.1.617 and other SARS-CoV-2 variants - Nature
Samples of serum from individuals immunized with the BNT162b2 vaccine show neutralization activity against engineered SARS-CoV-2s bearing the spike mutations fr...

この論文ではファイザーのワクチンを打った後にPRNT50という指標でワクチンによるウイルスの中和を評価したものです。ウイルスが感染することによってできるプラークというものを50%減らすことができる濃度を測定するみたいなもののようです。内容は至ってシンプルでこの結果だけです。

そしてその結果ですが、概ね変異株に対する中和は野生型と変わらなかったが、B.1.617.1の変異株に対する中和だけが低かったという結果になっています。これがまさにインド株と言われているものですね。

この論文ではこの中和の能力だけがワクチンの効果を表しているものではないと書いてあります。ただワクチンを比較的接種しているイギリスでこのインド型が拡大していることもあるので心配ですね。

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